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工務店の「強み」って、結局何なんだろう?

「自社の強みを伸ばしましょう!」「武器が必要です!」

よくコンサルタントの方がそうおっしゃるのを耳にしますよね。もちろんその通りなんですが、工務店さん自身家づくりにおいて、「そもそも独自性なんて生まれるのか?」と深く悩まれることが多いです。

今回は、工務店の「強み」、つまり独自性や差別化って一体何なのか?私なりの考えをまとめてみました。


かつての「強み」は、もはや「当たり前」に?

昔は「これは〇〇工務店の家やなー」と一目でわかるような、特徴的な意匠性(デザイン)が強みになる時代がありました。でも、今はどうでしょう?SNSの発展で、素晴らしいデザインが気軽に参考にできるようになり、多くの工務店で意匠性はぐんと高まっています。もはや工務店名が書いてないと、どこが建てたのか分からないくらい、デザインレベルは均一化しているように感じます。

最近ではフリーランスのデザイナーさんも増え、意匠設計が苦手な工務店でも、外注すれば高いデザイン力を手に入れられるようになりました。お客さまも建築事務所を指定したりすることもあるので、社員であるか外注であるかは、あまり関係なくなってきているのかもしれません。


性能も、構造も、時代の「標準」へ

次に「性能」について。 私自身、建材メーカー出身で、20年前は高気密高断熱の断熱パネルを販売していました。当時は「そんな高いものいらない」「気密?空気が澱んで体に悪いわ!」と、なかなか受け入れてもらえなかった時代です。しかし、ZEHや省エネ基準の義務化が叫ばれるようになってからは、当時から高気密高断熱の重要性を理解し、しっかり取り組んでいた工務店は、商圏内でしっかり差別化ができていました。

2025年現在、今は高気密高断熱なんてもはや業界全体で「当たり前」です。「そこを強みです!」と謳っても、「え、どこもやってますよ?」と返されるのがオチです。そこにずっとしがみついていた工務店さんは、業績がどんどん厳しくなっているのが現状です。

「構造」も同じです。 『新建ハウジング』の2025年新春特大号が「構造の時代へ。」と銘打つほど、今年は耐震化が最も重要視されています。特に「4号特例縮小」の影響もあって、住宅の耐震化は一気に進んでいます。見学会で来場者の方からM’s構造設計の佐藤実さんのYouTubeチャンネル「構造塾」を見ていると聞いたり、許容応力度計算という言葉を知っている方が増えてきたりと(数年前では考えられません!)、驚くような変化が起きています。

私の友人である構造設計事務所ヒロモクの戸鳴宏樹さんも、XやYouTubeで構造の重要性を熱心に発信し続けています。前職では大手の構造設計事務所に在籍しながら、「ツーバイマンヒロキ」として正体を隠して活動されていましたが、「もっと耐震を普及させなければ」という使命感から独立されました。

彼の活動を間近で見ていると、耐震等級3(許容応力度計算)が一般化するのも時間の問題だと感じます。だから、今これを強みと謳ったところで、いずれ当たり前になります。そもそも、倒壊するような家を作ってはいけないわけですから、「強み」だというのも、おかしな話ですよね。

【ツーバイマンヒロキこと戸鳴宏樹氏の構造設計事務所ヒロモクはこちらから】


工務店の本当の「強み」って何?

私がサポートに入らせていただく中で、「今さら差別化できることなんてありますか?」「住宅は進化し切った、もう新しいものなんて生まれない」という声も少なくありません。私も、建物単体での差別化は、もはや難しいと感じています。FCに加盟すれば、デザイン性も性能も、販売ノウハウも「購入できる」時代ですからね。

では、一体何が工務店の「強み」になるのか? 私は、大きく3つの要素があると考えています。

1. まだほとんどの会社が踏み入れていない「領域」

たとえば、空調計画です。単に性能だけを高めても、本当に快適な室内環境かと言えば、そうでないケースが多いのが現実です。より快適に過ごすには空調計画が重要だと、知人の工務店から教えてもらいました。ただ、聞いている限り、これは独学ではまず無理だと感じました。断熱や気密だけでなく、日射取得や日射遮蔽といったパッシブ設計の知識、そして空調を考慮したプランニングなど、総合的なノウハウがなければ成り立ちません。

これはまさに【まだ踏み入れていない=簡単には踏み入れられない領域】です。このような領域をマスターし、その重要性を発信していくことで、明確な差別化が図れると考えます。もしかしたら、いつかスタンダードになるかもしれませんが、その日が来るまでにその領域で「地域No.1」をとっておくことが、大きなアドバンテージになるはずです。

2. 出会う前からファンになってもらう

家づくりのパートナーを選ぶ上で、最終的には「」で意思決定すると言われています。「少し頼りないけど、この人になら任せられそう」「ここまで真剣な人と一緒に家づくりがしたい」。どれだけ商品が良くても、同じようなものは隣の工務店にもありますからね。

今の時代、お客様の方が性能に関する知識が高い、なんてことも珍しくありません。それでもその会社を選ぶ理由は、きっと「人」にあるんだと思います。

ただ、何も知らないけどキャラクターだけで売れる時代は終わりました。やはり大きな買い物ですし、家づくりにかかる費用はここ数年で1.5〜2倍くらいになっています。しっかり学び続け、お客様をリードできることが、大前提として求められています。

では、どうすればお客様に出会う前から「この人に頼みたい!」とファンになってもらえるのか? 出会ってからファンになってもらうのは、正直営業スキルがあれば誰でもできます。それが仕事ですから、それもあまり強みとは言えません。

そこで重要になるのが、YouTubeやSNSでの発信です。多くの工務店が、退職時の動画削除リスクや、スタッフが出演を嫌がるといった課題を抱えています。大手ハウスメーカーも、展示場単体でのSNS活動を禁止しているケースが多いです。

しかし、住宅会社選びで最も利用されるツールは、もはやInstagramやYouTubeです。まだ他社が積極的にやっていない中で、自社を知ってもらうには、やる以外の選択肢はありません。もちろん、ただのルームツアーのような誰でもできるものばかりでは意味がありません。

大切なのは、自分が今まで何をやってきたのか、どれだけ真剣に家づくりに取り組んでいるのかを伝えられるかどうか。薄っぺらい内容は、かえってマイナスになることもあります。しっかり家づくりを研究し、それを正しく発信することで、まだ出会う前からファンになってもらうことができるんです。

3. その答えは「お客様」が持っている

そして3つ目は、意外に思われるかもしれませんが、答えはお客様自身が持っています

私はお客様インタビューの撮影とインタビュアーをさせてもらうことが多いのですが、事前に工務店から聞いていた「選ばれた理由」が、実はお客様に直接聞くと全然違った、ということが多々あります。

また、「一番喜んでくれているのは断熱性能だろう」と自負していたにも関わらず、お客様からはこちらから聞くまでその話が一切出てこなかったりもします。

つまり、自分たちの強みはこうだと思っていても、全然違うところで選ばれているということがよくあるんです。自社の強みって一体なんだろう?と悩む時は、ぜひ過去のお客様へインタビューをしてみてください。そこに、本当の答えがあります。


諦めるのか、今から取り組むのか

もし、ここまで読んで「うーん、どれも難しいなあ…」と感じた方がいたら、それは正直、今まで何もやってこなかったということかもしれません。いくら優秀なコンサルタントを入れても、何の素地もなければ、何も新しいものは生まれませんし、今から急いで作っても、ハリボテにしかなりません。

もちろん、全く方法がないわけではありません。 速攻性のある方法としては、住宅FCに加盟し、広告費を使って集客し、その商品に魅力を感じる方に購入していただく、という道もあります。もちろん、その分広告費や販促費を考えると、顧客獲得単価は高くなります。

でも、それは仕方ないんです。今、お客様に選ばれている会社は、何年も何十年も前からずっと家づくりを研究し続け、お客様との関係性を大切にしてきています。それは目には見えませんが、「時間」という膨大なコストをかけているのです。残念ながら、マーケティングの小手先のテクニックだけで、そこに簡単に勝つことはできません。

「もう諦めるのか?」それとも「今からでも真剣に取り組むのか?」

この判断をすることが、経営者の皆さんの役割だと思っています。そして、その判断のお手伝いをすること。それが、私の役割だと考えています。

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