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経営者のSNSへの認識の甘さが招く「マイナスブランディング」の危機

先日、X(旧Twitter)で、非常に考えさせられる投稿を目にしました。あるハウスメーカーの支店アカウントを運用する担当者が「突然ですが、このアカウント なくなるかもしれません」というセンセーショナルな冒頭から始まるポスト。

詳しい内容は
・会社の求める成果は問い合わせや成約であり認知ではない
・結果を残せていないのは担当者の力不足
・正式決定後は即削除されるので先に伝えておく

この投稿はいかなる理由があっても控えるべき発信だったと思います。なぜなら、そのアカウントを応援していたフォロワーからは、担当者への共感の声が集まる一方で、企業や経営層への強い批判、さらには「こんな会社で家は買わない」といったコメントまで見受けられたからです。これは明らかに企業イメージを損なう「マイナスブランディング」です。

私自身、クライアントの広報の方からもSNS運用についての相談がダントツに多いです。多くの工務店広報はめちゃくちゃ苦労してますし、苦悩もしています。その根底には、経営者、特に社長がSNSの重要性を軽視し、担当者に「丸投げ」しているといった構造的な問題だと私は考えています。

今回は経営者のSNSに関する取り組みについて書いてみます。

ガバナンス不在が招く「境界線の曖昧さ」と「炎上リスク」

社長がSNSの重要性や特性、またはリスクを十分に理解していないので、多くの場合、広報担当はパート従業員や事務員などSNS運用の専門外のスタッフが兼任しています。

しかし、投稿内容に関する明確なガイドラインや、投稿前のチェック体制が設けられない、またガバナンスが浸透しにくいポジションの担当者によって発信の自由度が極めて高くなってしまっています。その結果、企業と個人の発信の境界線を曖昧にし、予期せぬ炎上やマイナスブランディングを招く要因となるのです。

冒頭のXの事例のように、個人の感情や会社の内部事情を示唆する内容が、意図せず企業への批判へと繋がってしまうのは、この境界線が曖昧な結果だと思っています。

実際、大手ハウスメーカーが各支店やスタッフ個人のSNS運用を厳しく制限したり禁止したりしているのは、こうした統制不能リスクを回避するためです。

「馴れ合い」が招く、顧客視点の欠如

Xでは企業アカウント同士が活発に交流し、お互いを応援し合う関係性は、アカウント運営者のモチベーション維持に貢献する側面も確かにあります。しかし、社長が明確な広報戦略を示さず、その目的意識が希薄な場合、この交流が企業アカウント同士の「馴れ合い」になってるのでは?と感じることもあります。

内輪での盛り上がりが、本来のターゲットである見込み顧客へのリーチやエンゲージメントに繋がっていなければそれは単なる自己満足です。顧客から見れば、ただの「仲良しグループ」です。

工務店選びに迷っている方は企業アカウントが他の企業とどれだけ親密であるかはどうでもよくて、自分たちの家づくりに役立つ情報や、信頼できるパートナーなのかを見ています。企業アカウント同士の挨拶も大事ですが、それ以上に顧客への発信を意識するべきです。

「遊んでいる」と誤解され、孤立する広報担当者

ただこう見ると広報って遊んでるの?と思われるかもしれないですが、決してそうではなくて寧ろ、多くの工務店で広報担当者が苦悩を抱えています。

SNSの運用は、情報収集、コンテンツ企画、撮影、編集、投稿、コメント対応、効果分析と専門性の高い業務です。しかし、その性質上、「パソコンやスマホをいじっているだけ」「現場に出て写真ばかり撮ってる」と、他の社員や現場の職人から遊んでいると誤解されることが少なくありません。

経営者からも「フォロワーが伸びない」「SNS経由での問い合わせがない」といった一方的なプレッシャーをかけられることも少なくありません。

そうしたプレッシャーが重なることで、仕事の愚痴など、消費者にとって決してプラスにならない内容を投稿してしまうリスクを生んでいるんではないかと思います。

今回のXのポストも、おそらくそうした状況下で同じ境遇のアカウントからの共感を求めて発信されたのかもしれません。しかしその結果、批判の矛先が企業に向かうことは冷静に考えれば予測できたはずです。

これは、投稿内容のガイドラインや禁止事項が不在であること、そもそも投稿の目的や対象は誰か?が抜け落ちた結果だと考えます。

SNSにおいて経営者がやるべきこと

顧客がSNSで情報を得て、学び、会社を選ぶ時代において、SNSは非常に重要な広報媒体となります。だからこそ、SNS広報を単なる「タスク」ではなく、企業の重要な戦術の1つとするには、経営者が主体的に関与し、以下の明確な「線引き」と「仕組み」を整えることが不可欠です。

社長自身のSNS理解
社長がSNSの重要性や特性、リスクを深く学び、SNS戦略がいかに重要かを社内全体に浸透させる。担当者任せではなく、経営者としての責任とリーダーシップを持って関与すること。

広報目的とターゲットの明確な共有
担当者任せにせず、会社全体で「どんなお客様に、何を伝えたいのか」を議論し共有する。常に「お客様」に届く発信を意識する。

発信ガイドラインの策定と周知徹底
「発信して良いこと・悪いこと」を明確にするルールを定める。会社の公式見解と個人の見解の区別、プライベートな内容の発信範囲、他の企業アカウントとの交流における注意点なども具体的に明記し、運営担当者に周知徹底する。

投稿前のチェック体制の構築
特に重要な投稿や、判断に迷うような内容の場合は、担当者一人で判断せず、事前に複数人で確認するフローを設ける。「社長が都度チェックする」は不可能なので、誰がどのような基準でチェックするのかという具体的な仕組みを設ける。

広報担当者へのサポートと正当な評価
担当者に独学で学ばせるのではなく、外部を入れたSNS研修等を実施し、発信できる環境を整える。SNSが重要な「仕事」であることを社内に周知し、担当者の努力を正当に評価することが、モチベーション維持と質の高い発信を継続させる。

パート従業員へ過度なノルマを課さない
よくパート従業員の方へSNS運用を任せる方がいますが、時給で働いている方に対してよくそんなノルマやプレッシャーを与えるなと思います。パート従業員には効率は求めても売上・利益を求めるべきではないです。成果を求めるのであれば正社員に担当させましょう。

もっと経営者がSNSを重要視し、担当者の苦悩を理解することでより良いSNS運用につながるのではないかと思っています。今回のポストの運用担当者の投稿は公式アカウントとしてが決して正解ではありませんが、リプ欄で言われているとおり、経営陣のSNS軽視が大きな問題だと考えます。

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